『マクドナルドのビジネスリカバリープランを検証する』

10.6%、6.6%、2.5%、11.6%、14.6%。

マクドナルド(日本マクドナルドホールディングス株式会社)の直近5年の有価証券報告書から、連結売上高の対前年減少割合を計算すると、上記の数字になる。単純平均すると、マイナス9.2%。

つまり、平均でも年9%以上売上高が減っている状態なのである。

バーガーイメージ

そこに、今回の上海福喜食品の事件から異物混入問題と広がっている中で、発表されたビジネスリカバリープランによると、連結売上高は対前年で10.0%のマイナスとなっている。

下半期に上海福喜食品の事件の影響を受け14.6%減となった前年度よりも改善しているだけではなく、特に事件などがなかった前々年度の減少幅11.6%よりも減少幅は改善する計算になる。

はたして実現するのだろうか。

足元の当期の動きを見てみよう。

既存店ベースの売上ではあるが、異物混入が問題となった今年の1月以降は、△38.6%(1月)、△28.7%(2月)、△29.5%(3月)と、平均すると30%以上のマイナス(△はマイナスの意)になっており、ビジネスリカバリープランで示した、全店売上高の対前年比△14.4%を実現するには、4月以降12月(決算)までを10%以下の減少幅でクリアしていく必要がある。加えて、約130店舗に及ぶ閉店による売上のマイナスも考慮すると「連結売上高△10.0%、全店売上高△14.4%は現実的なものなのか」が疑問になってくる。

そこで最悪、対前年売上高の減少幅がビジネスリカバリープランの倍の△28.8%となった場合を、有価証券報告書のデータに基づいてシミュレーションしてみよう。しかし、有報を見てもフランチャイズ店の収入や原価構造の内容がわからないので、推測しやすい直営店に絞って、売上高(収益)が28.8%(約460億円)減少した場合を考えてみる。売上高が減ると、材料費(材料費率36%:つまりマクドナルドの商品の36%が材料代)だけは売上に比例して(約165億円)減ってくれるが、その他の費用はビジネスリカバリープランで切り詰めていると思われるので、売上高が減ったとしても大幅に減るとは考えにくい。すると、売上高のマイナスと材料費が減少分を相殺させて、利益に295億円ほどのインパクトが及ぶと考えられる。マイナス幅を倍にしたので、このうちの半分は織込み済みと思われるが、それでもこのペースで前年対比30%近いマイナスが続けば、年間で150億円近い追加的な損失が出ることになる。

もちろん、材料費以外のコストの切り詰めも行っているだろう。しかし、同プランによる当初の純損失の見込み額は380億円。これまで蓄えてきたマクドナルドの純資産1,500億円と比べ、当初の想定でも大きな損失を覚悟していると思われる以上、更なる損失の拡大は大きな痛手になるはずである。

「カサノバ(Casanova)」と言えば、イタリアの名うてのプレイボーイで、英語圏の辞書では、そのままプレイボーイの代名詞にもなっている。彼なら女性にだけ愛されればよかったのかもしれないが、マクドナルドの社長ではそうもいくまい。

メインターゲットのファミリー層だけではなく、多くの層に愛される存在に戻っていけるかどうかがカギになるように思う。

(ネットスクール株式会社 桑原知之)

日本マクドナルドホールディングス株式会社

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