スカパーの衛星打ち上げ費用っていくら?

7月といえば、七夕。今回は七夕にちなんで、宇宙に関する内容を有価証券報告書(有報)で見てみましょう。

人類の科学技術が進歩した現代、夜空を見上げて見える星々の他に、肉眼では見えないものの多くの人工衛星が地球の周りを飛んでいるようです。その中でも、私たちの生活に身近な人工衛星といえば、衛星放送を届けている人工衛星ではないでしょうか。

衛星放送を運営している株式会社スカパーJSATホールディングス(以下、「スカパー」)の第9期(平成27年4月1日‐平成28年3月31日)の有報の【設備の状況】を見ると、さすがと言うべきか、自社グループで保有している、もしくは打ち上げ予定の通信衛星に関する情報を読み取ることができます。
例えば【主要な設備の状況】を見ると、現在稼働中の通信衛星の帳簿価額が約650億円と記載されています。

ただし、建物や機械などの固定資産は、時間が経過し使用されると価値が減少するので、会計上のルールで減価償却という手続きを経て、帳簿上の金額を減らすことになっています。
通信衛星も同様なので、上記の650億円という帳簿価額は何年か使用された後の「現在の価値」ということになります。したがって、この情報から打ち上げ費用を逆算するのは難しそうです。

そこで、【設備の新設、除却等の計画】で今後打ち上げ予定の通信衛星の情報を見てみることにしましょう。
こちらでは、これから打ち上げ予定の通信衛星1機ごとの打ち上げ時期などの他に、投資予定額の総額が記載されているので、こちらの方が詳しい情報が分かりそうです。

細かい機種の違いや用途の違いまでは書かれていませんが、同じシリーズと思われる『JCSAT』という衛星が3機、平成28年度中に打ち上げられるということで、こちらに注目してみましょう。
有報によれば、JCSAT-14という衛星の投資予定額の総額が205億円であるのに対し、JCSAT-15という衛星が190億円、JCSAT-16という衛星が180億円と、徐々に投資予定額の総額が少なくなっているのが興味深いところです。

気になって、過去の有報を遡ってみると、例えば平成23年3月期の有報に載っているJCSAT-13の投資予定額総額は約247億円、平成20年3月期の有報に載っているJCSAT-12の投資予定額総額が約221億円とあります。
為替の影響も受けているのかもしれませんが、通信衛星ってこの数年で確実に安くなっているようですね。

ちなみに、上記の投資予定額総額にはどの費用まで含まれるのかも気になるところかもしれません。
通信衛星本体の金額なのか、打ち上げに掛かる金額も含まれているのか…。

これに関して有報に詳細は明記されていませんが、会計の世界のルールを考えると、打ち上げに掛かる費用も含まれていると考えるのが妥当でしょう。
会計の世界では、建物や機械などの取得原価は「使えるようになるまで掛かった金額」で考えるのが原則で、機械であれば設置や試運転に要した金額も機械の取得原価に含めて帳簿に記入することになっています。
通信衛星に関していえば、地球上に置きっぱなしのままでは何の意味もなく、宇宙に打ち上げてから使えるようになるものですから、打ち上げに掛かる金額も含まれていると考えられます。
そう考えると、もしかしたら衛星の打ち上げコストも安くなっているのかもしれませんね。(ネットスクール株式会社 藤本拓也)

株式会社スカパーJSATホールディングス

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