特徴的な小林製薬のネーミング。価値はいくら?

年が明けて、1月後半頃から急に寒くなってきました。寒くなると、風邪をひく人も増えてきて、体調管理に一層気を遣う季節となります。薬局やドラッグストアにお世話になる機会も増えますね。

さて、ドラッグストアの店内には、多種多様な商品が並べられていますが、その中には特徴的なネーミングの商品があります。その中でも、特に印象に残るのが、小林製薬株式会社(以下、「小林製薬」)の商品たちです。
額用冷却シートの「熱さまシート」やシミを予防する「ケシミン」など、CMで一度見ると強い印象に残るネーミングがたくさんあります。

一般的に、商品のネーミングのうち重要なものは特許庁に申請して『商標権』を取得します。これは企業が持つ大切な財産の1つなので、有価証券報告書(有報)の中の財務諸表(決算書)に金額付きで記載されます。

企業が保有する資産は、貸借対照表に記載されます。第97期(平成26年4月1日‐平成27年3月31日)の期末(平成27年3月31日)時点の『商標権』の金額を見ると、グループ全体の商標権の金額は8,300万円、小林製薬単体で7,900万円となっています。
グループ全体の総資産が約1,900億円弱、年間売上高が1,300億円弱であることを考えると、どうにも少ないように感じるかもしれませんが、これには会計的な理由が2つあります。

まず、1つ目は“償却(しょうきゃく)”という、会計上の手続きです。平たく言えば、「価値が減った分だけ、帳簿上の評価額を減らし、同額を費用に計上する」手続きです。
商標権も、更新しないと期限が切れて無効になってしまいます。従って会計の世界では、時が経てば残りの有効期間が短くなる分だけ価値が減ると考えます。

では、「元の金額はいくらだったのか?」ということを知りたいのですが、残念ながらグループ全体の情報は分かりません。しかし、小林製薬単体の情報であれば、【有形固定資産等明細表】を見れば分かります。
商標権の『当期首残高』を見ると、15億7,100万円という金額が記載されています。これが元々の金額だったのですが、償却という手続きを経た結果、残った価値が7,900万円と言うことになっています。
時の経過により価値が減る前の金額を考えると、結構な金額であったといえます。

もう1つは、そもそも『商標権』という資産に計上できる金額の制限です。貸借対照表いう表に載る資産の金額は、「企業の持つ財産の価値」と言えるのですが、一概に「価値」といっても、その算定は難しいものです。
そのため、会計の世界では様々なルールが決められているのですが、『商標権』に関していえば、「その商標権を取得するために要した費用」の額しか、元々の資産の金額に計上できないこととなっています。
従って、先ほど見た15億7,100万円という数字も、あくまで「商標権を取得するために要した費用」であって、「その商標でいくら儲かるのか」や「その商標を他に売ったらいくらになるのか」を示すものではないのです。
(それでも、今有効な商標権の取得に15億円以上費やしているということも十分すごいのですが…。)

そう考えると、有報の中の数字だけで分かる情報というのは少ないのですが、金額がどうであれ、小林製薬の商品のネーミングが多くの人に強い印象を与えていることは変わらないでしょう。

ネットスクール株式会社 藤本拓也)

小林製薬株式会社

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