介護部門売却後のワタミの姿

居酒屋イメージワタミ株式会社(以後、ワタミとします)は、介護事業部門の子会社(ワタミの介護株式会社)を210億円で損保会社に売却するというニュースが流れました。
このような事業部門の売却の話はよく聞くのですが、「じゃあ、売却後、ワタミがどんな姿になるのか」は、あまり報道されません。

そこで、平成27年3月末の決算から介護事業部門を差し引くとどんな会社になるのかを、有価証券報告書(有報)を使って見てみましょう。

介護部門の情報は、有報の「セグメント情報」という場所に記載されています。
「セグメント」とは、「区分」や「部分」のこと。様々な事業を行うのが一般的になった現代、どのような事業分野が稼ぎ頭になっているとか、損失を出しているとかといった内容を記載しているのが、「セグメント情報」です。ワタミで言えば、今回売却する「介護」や、居酒屋事業の「国内外食」のほか、「宅食」や「海外外食」といったセグメントがあります。

最新の第29期(平成26年4月1日 ‐ 平成27年3月31日)の情報を見てみると、売上高354億円、セグメント利益24億円、セグメント資産721億円、セグメント負債701億円の介護部門を210億円で売却すると、ワタミはどのような姿になるのでしょうか。
単純計算ではありますが、売却前の姿と比較してみましょう。

《売上高》 売却前1,553億円→売却後1,199億円 (23%減)
《営業利益》 売却前▲21億円(損失)→売却後▲45億円(損失)
《資産総額》 売却前1,309億円→売却後(売却代金含む)798億円(39%減)
《負債総額》 売却前1,209億円→売却後508億円
《純資産額》 売却前100億円→売却後290億円(190億円増)

売上高を身長、総資産を体重、純資産を貯蓄に例えると、身長が23%低くなり、体重は4割近く減ったけど、蓄えは2.9倍になったという状況です。

ただここ2年、49億円、129億円(合計178億円)とワタミは純損失を計上し、その分の純資産(たとえでは貯蓄)を減らしてきている中での稼ぎ頭の介護部門の売却ですから、純資産は戻したものの「このあと、どう稼ぐか(得た資金で稼げる体制が作れるか)」がとても重要な課題になることでしょう。

ネットスクール株式会社 桑原知之)

ワタミ株式会社

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