ドトールがコーヒー豆高騰に怯える理由!?

コーヒーイメージ先週のコラムでは、コーヒーショップや喫茶店を営む上場企業が有価証券報告書の【事業場のリスク等】で、「コーヒー豆の価格高騰」に関するリスクについて見ていきました。

どの企業にとっても、コーヒー豆の高騰は死活問題になりそうですが、実際に調べてみると、リスクの筆頭(1番目)に書いている企業もあれば、リスクとしては最後に書いている企業もあり、企業によって違いが意外と大きいことが見て取れました。

では、どうしてそのような違いが生じるのか。今回は、ちょっと専門的な内容に踏み込みつつ、仮説を検証していきたいと思います。着目するのは、『売上原価』です。

コーヒーショップや喫茶店で販売するコーヒーに対するコーヒー豆や紅茶に対する茶葉、ケーキに使うクリームなどは、有価証券報告書の「(連結)損益計算書」上では『売上原価』
として計上されています。

例えば、株式会社ドトール・日レスホールディングスの連結損益計算書(平成27年2月期)を見てみると、売上高がおよそ1,200億円に対して、売上原価は480億円。同社はコーヒーショップ以外にも様々な飲食店を運営している為、一概にはコーヒーショップのみとは言えませんが、ざっくりいえば売上高のうち40%がコーヒー豆などの「原価」で占められていることになります。この割合を「原価率」(または「売上原価率」)といいます。

先週の記事にも書いた【事業上のリスク等】の中で何番目にコーヒー豆の価格高騰のリスクを書いたのかという情報と、その期の売上原価率を比較すると、次のようになります。

株式会社ドトール・日レスホールディングス:40%(1番目/7項目、2015年2月期)

キーコーヒー株式会社:71%(1番目/11項目、2015年3月期)

スターバックスコーヒージャパン株式会社:26%(6番目/8項目、2014年3月期)

株式会社銀座ルノアール:13%(11番目/11項目、2015年3月期)

※スターバックスは今年3月に上場廃止となったため、上場していた時代の最も新しい有価証券報告書を参考にしています。

キーコーヒー株式会社は、一般的に原価率が高くなる販売業がメインなので他社との比較はあまり意味がないかもしれませんが、その他の3社については、違いが顕著です。

ドトールとルノアールを比較すると、同じ1,000円分のコーヒーを飲んだときにかかるコーヒー豆などの原価は、それぞれ400円と130円。もしもコーヒー豆の価格が10%上がったら…と考えると、どちらがコーヒー豆の価格高騰に対してリスクが高いのかは明らかです。

では、ルノアールはリスクが低いのかというと、そうとも言い切れません。例えば、店舗の家賃などの『賃借料』。売上高に対する賃借料の割合は計算すると25%なので、実はコーヒー豆よりも家賃の方にコストが掛かっています。他社も同じように計算すると、ドトールもスターバックスも約11%なので、際立って高いことが分かります。

従って、ルノアールについてはコーヒー豆よりも店舗の家賃の値上がりの方がリスクが高いのでは?という推測もできます。

身近な会社の有報から、いろんな推測を立ててみると、違った見え方ができるかもしれません。

(ネットスクール株式会社 藤本拓也)

株式会社ドトール・日レスホールディングス

キーコーヒー株式会社

スターバックスコーヒージャパン株式会社

株式会社銀座ルノアール

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