天候不順で景気が悪化”って本当?

曇り空イメージ

当初の予定通りであれば、ちょうど3ヵ月後の2015年10月から消費税率は10%に再増税される予定だったことを、皆さん覚えていらっしゃるでしょうか?しかし、実際の再増税は1年半延期となりました。その原因の1つと言われているのが、『天候不順』。特に昨年夏の天候不順が景気に悪い影響を与えたと言われているようですが、本当なのでしょうか。実は気象予報士でもある筆者が個人的にも気になっていることだったりします。

今回は、このことについて、有価証券報告書(有報)から何か分かることがないかを調べてみました。

金融庁が運営するEDINET(エディネット)では、各企業が提出す有報を誰でも自由に検索・閲覧することができます。このEDINETを使って、日本中の上場企業が提出した有報を通して『天候不順で景気が悪化』したのは本当なのかを見てみましょう。

通常、EDINETでは投資先または投資を検討している企業名で検索をしてその企業の有報をヒットさせ、有報を見ながら「この会社の株を買おうか?」または「売ろうか?」ということを考える際に使います。

しかし、EDINETには『全文検索』という機能も付いており、有報全体または箇所や期間を指定して色んな企業の有報に含まれる特定の文字列を横断的に検索することもできます。今回は、この『全文検索』という機能を使います。

有報には「業績等の概要」という見出しが付いている箇所が必ずあり、そこでは各企業が1年間の経営状況を振り返り、どのような原因でどのような経営成績になったのかが、文章や表でまとめられています。もし、天候不順が企業の業績に影響を与えていた場合、この部分に『天候不順』というワードが沢山登場するはずです。

ただし、有報は1年に1度、決算日からおよそ3か月後にしか作成されないため、ややタイムラグがあります。去年の夏のことが書かれた有報は、早くても去年の秋に決算日を迎えてそれから3か月後、すなわち去年の年末以降に提出されたものということになります。

分かりやすいように、今年の1月1日から6月29日までに提出された有報と、そのちょうど1年前の1月1日から6月29日までに提出された有報で、「業績等の概要」の中に『天候不順』が何件ヒットするのかを比較して結果が、以下のとおりです。

2014年1月1日~6月29日: 84件

2015年1月1日~6月29日:418件(←昨年夏のことが書かれた有報)

一口に『天候不順』と言っても影響は直接的なものから間接的なものまで様々だと思いますが、少なくとも『天候不順』に言及する企業が一気に5倍近くまで増えていることだけを考えると、去年の夏の天候不順が経済に対して例年以上の影響を与えたといっても良いのではないでしょうか。

とはいえ、別の報道では「上場企業の最高益」という報道もよく目にします。これが「天候不順さえなければ、もっと儲かったはず」ということなのか、それとも「とりあえず『天候不順のせい』ということにしておけば、みんな納得するはず」ということなのか、真意を見極める必要はありそうです。

(ネットスクール株式会社 藤本拓也)

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