JTが財務大臣に支払う670億円の正体

たばこイメージ個人投資家の中には「株主優待」を目当てに投資を始める方もいるようですが、現金な筆者は、「株主優待」よりも現金で貰える「配当金」の方が嬉しいですし、「配当金だけで優雅に暮らす」ということに憧れがない訳でもありません。しかし、個人が「ちょっと手を出す」レベルで株式を買って保有していても、配当金だけで暮らすなんて夢のまた夢。配当金は株式数に比例して会社から支払われる訳ですから、もっともっと沢山の株式を保有しなければなりません。

今回のコラムは、配当金と大株主について、日本たばこ産業株式会社(JT)の有価証券報告書(有報)を見ながら考えてみましょう。

喫煙者の方はもちろん、そうでない方もJTの存在はご存知でしょう。法律により、たばこ製造の独占が認められているこのJTも、実は株式を東京証券取引所に上場しています。従って、誰でも株式を買って株主になれますし、上場しているということは投資家に向けた情報開示として有価証券報告書を作成しています。

では、JTの筆頭株主(一番の大株主)は誰でしょうか。第30期(2014年1月1日~2014年12月31日)のJTの有報の中から【大株主の状況】という項目を見てみると、一番上に「財務大臣」という記載があります。所有株式の割合は3分の1を超える33.5%。所有株式数は6億6,693万株という、非常に多くの株式を保有して、筆頭株主になっています。

多くの株式を財務大臣名義で保有されているということは、それだけ多くの配当金も支払われていることが推測できます。有報の【配当政策】を見ると、当期の配当は中間配当、期末配当それぞれ1株につき50円。トータルすると、年間で1株につき100円の配当金を支払うという記載があります。

単純に計算すると、財務大臣が持っている6億6,693万株に対して1株につき100円の配当金がJTから1年間で支払われる訳ですから、その総額は666億9,300万円ということになります。

喫煙者の方にとっては、たばこを買って「たばこ税」を取られる上に、JTの利益の一部も国に支払われるということで、なんともやるせない気持ちになるのかもしれません。しかし、法律で日本国政府(財務省)がJTの株式の3分の1以上を保有しなければならないと決まっているため、今の法律を変えなければJTの配当金の3分の1強は国に支払われ続けることになります。また、他の大株主を見るとJPモルガンやHSBCといった海外の金融機関、いわゆる外国人投資家も名を連ねており、加えて一般の個人でも株主になっている方もいるでしょうから、「儲かっているのに配当金は支払わない」という訳にいかないでしょう。

たばこを吸われる方は、税金だけでなくJTの有報も気にしてみてはいかがでしょうか。

最後に、大株主に名を連ねている「財務大臣」というのは“財務省の代表者”という意味です。もちろん、約670億円にも及ぶ配当金が財務大臣のポケットマネーとなる訳ではありませんので、誤解のないように…。

(ネットスクール株式会社 藤本拓也)

日本たばこ産業株式会社

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