「東芝のニュースで話題になっている『工事進行基準』って何?」

工事イメージ

有価証券報告書の損益計算書の一番上に書かれている『売上高』は、何をもって『売上高』になるのでしょうか?

なんとなく「売ったら売上」という認識かもしれませんが、会計の世界では「1.商品の引き渡し」と「2.対価(売上債権でもOK)の受け入れ」の2つの要件が満たされたときに売上を計上するという厳密な原則があります。これを『販売基準』といいます。

でも要するに、みなさんの感覚どおり、販売したときに売上を計上するというだけのことです。

しかし、原則があれば例外があるのが世の常で、長期にわたる工事を請け負った場合には、この販売基準が馴染まないケースもあるため、『工事進行基準』といわれる考え方を採ることがあります。

仮に3年間で完成させるビルの工事を請負ったとして考えてみましょう。販売基準の考え方によると、商品(完成したビル)を引き渡すまでは売上に計上できず、1年目と2年目の売上が0になり、3年目だけに3年分の売上が計上されることになってしまいます。それでは、損益の適正計算の観点から適切ではないため例外的に認められているものです。

では、具体的な計算例で見ていきましょう。

たとえば、12億円の工事を請け負い、総工事費用を正しく見積もったところ10億円であったとします。そして、その工事に当期4億円使ったとすると、工事の進捗度(進み具合)は10億円のうち4億円分進んだので40%考えて、売上高も12億円のうちの40%、4.8億円を計上するという計算を行うことになります。

さてここで、故意なのかそうでないのかは別にして、もしも仮に先ほどの工事の総工事費用を8億円と少なく見積もったとしましょう。

すると、同じく工事費用4億円を使ったとしても、今度は進捗度が50%となり、売上収益を6億円計上できることになります。

これが今株式会社東芝で話題になっている不適切会計の発端となった、工事進行基準のおける収益の過大計上の内容だと言われています。

しかしこれは、収益の架空計上というよりは収益の前倒し計上なので、この件だけを見て東芝が経営危機に、などということはないと思われます。しかし、実際にはこれ以外にも不適切な内容があったという一部報道もありますし、そもそも有価証券報告書の記載が正しくなかった、しかも多額に、という点には大いに問題があるといえるでしょう。

(ネットスクール株式会社 桑原知之)

株式会社東芝

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