『上場計画中のJR九州があてにする国の助け舟』

新幹線イメージ

会社が倒産するのは「儲からないから」と思う人が多いが、一番の直接的な原因は「お金がなくなったから」です。逆に言うと、いくら儲からなくても資金が続けば倒産はしないということになります。

たとえばむかしの国鉄(日本国有鉄道)は、国家的な金食い虫で「国が金を失うと書いて国鉄」などといわれていたが、国がお金を入れ続けたので倒産すること もなく、結局7つに分割民営化され、いまではJR東日本(東日本旅客鉄道)、JR東海(東海旅客鉄道)、JR西日本(西日本旅客鉄道)の3つが上場企業と なり、昨今はJR九州(九州旅客鉄道)の上場が取りざたされています。

では、分割民営化によって「国はお金を入れなくなったのか」というと、実はそうでもないのです。JR九州、JR北海道、JR四国といった未上場の企業には、いまでも国が税金を入れ続けています。

どのようなシステムで、お金が流れているかを、JR九州を例にとって見てみましょう。
ただし、JR九州はまだ上場していないため、ホームページの財務情報を元に話を進めていきます。
貸借対照表の純資産の部に「経営安定基金 3,877億円」があり、これが分割民営化されたときに国からもらったものと思われる部分です。また、それを運 用しているのが資産の部の「経営安定基金資産 4,268億円(過去の運用で増えているものと思われます)」であり、その結果、当期の損益計算書に「経営 安定基金運用収益 120億円」と計上されています。

そしてこの主な運用先が、国だと言われています。
つまり国から見ると、分割民営化の際にJR九州に3,877億円渡し、それを運用するという形で預かり、年間約120億円、年利にすると約3%の利息を支払っているという状態です。つまり、その分税金がJR九州に流れているという状況です。
ちなみに、同じ形でJR北海道には約341億円、JR四国には110億円が計上されています。
(この他にもいろいろな仕組みで支援されているようですが、ややこしくなるので割愛します。)

では、このJRが上場するとどうなるのかを、JR東海の有価証券報告書で見ていきましょう。JR東海の貸借対照表には、もう「経営安定基金」や「経営安定基金資産」は見当たりません。当初からなかったのか、上場時に返済したのか、いずれにしても国からの税金が流入した痕跡は見当たりません。

さて、今般のJR九州の上場話。
JR九州は、上場後も「経営安定基金」を返還しない方針とのこと。
税金を納める国民の一人としては、基金は返還されるべきものだとは思いますが、それができないにしても、せめて国が運用して税金が支払われるというシステムだけは、終わりにしてもらいたいと思います。

(ネットスクール株式会社 桑原知之)

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