『映画の製作委員会も、実は子会社?』

会議室イメージ春の新作映画シーズンがそろそろ終わり、もうすぐ夏の新作映画の話題が出てくる頃です。
皆さんは、最近映画を観る機会、ありますか?

映画館でエンドロールまで一応席を立たずに見ていると、最後の方に「○○製作委員会」という表記をよく目にします。これは、「製作委員会方式」という方法で作られていることを意味しているようです。今回は、映画などの製作委員会と有価証券報告書(有報)とのつながりについて、見ていきます。

映画は多額の制作費を投入して作られるものが沢山あります。豪華なキャスト、特殊効果や精細なCGなど、お金を掛けようと思えばキリがないのですが、興行的に必ずしも成功するとは限りません。
もし、多額の制作費をかけた映画に失敗すれば、映画会社の経営が一瞬にして危機に瀕してしまいます。

そんなリスクを回避するために考えられたのが「製作委員会方式」とのことです。映画会社やテレビ局、出版社や広告代理店などがお金を出し合って、その出資比率に応じて収益を按分する仕組みで、1社が負担する制作費を減らし、同じ資金で複数の作品の製作に出資(投資)することでリスク回避できることから、今では多くの映画でこの方式が採用されているようです。

さて、この製作委員会と有報に何の繋がりがあるのでしょうか。それは、とある会社では映画の製作委員会が子会社や関連会社として掲載されており、発言力の強さなどが分かるようになっているのです。

例えば、株式会社IGポートという会社の第25期の有報を見てみましょう。有報の【業績等の概要】を見ると、この会社は企業グループで「進撃の巨人」や「黒子のバスケ」などのTVアニメーションの制作や、コミック誌などの出版などを行っている会社ということが分かります。

そんな同社の【関係会社の状況】を見ると、“連結子会社”の8つ目に「009 RE:CYBORG 製作委員会」、“持分法適用関連会社”には「宇宙戦艦ヤマト2199 製作委員会」と「ハル 製作委員会」と、3つの製作委員会が列挙されています。

製作委員会が“子会社”や“関連会社”として扱われることに違和感があるかもしれませんが、お金を出資して事業を行い、そこから利益を得るという行為は、普通の子会社や関連会社と同じです。経済的に同じようなものは、同じように取り扱われるのが、有報の原則といえます。

また、“子会社”と“関連会社”に違いがあるのは、株式会社IGポートの発言力、要するに議決権の違いです。有報を見ると、それぞれの製作委員会に対する「議決権の所有割合」が書かれています。“子会社”になっている「009 RE:CYBORG 製作委員会」の議決権所有割合は57.0%。過半数を占めているため、多数決では絶対に勝てます。このように、過半数の議決権を持っている場合には、原則的に“子会社”として有報に記載されることになります。

一方、“関連会社”になっている「宇宙戦艦ヤマト2199 製作委員会」と「ハル 製作委員会」の議決権所有割合は、それぞれ27.0%と35.0%。過半数には至っていないものの、もし意見が対立した場合には、無視できないほどの議決権割合といえます。このような場合には、“関連会社”として有報に記載されます(厳密にはもう少し難しくルールが決められていますが、こんな感じで理解して頂ければ問題ないと思います)。

ただ、色々と検索をしてもこのような形で公開されているものも少ないのですが、気になる映画の裏側を有報で探してみるのも、面白いかもしれません。

(ネットスクール株式会社 藤本拓也)

株式会社IGポート

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