JR九州の列車は1km走るといくら稼ぐ?

1872年10月14日、新橋~横浜間に日本初の鉄道が開通したことを記念し、毎年10月14日は『鉄道の日』だそうです。

今回のコラムは時期的に『鉄道の日』に合わせて、今月下旬に上場を果たす話題の
九州旅客鉄道株式会社
(以下、「JR九州」)について見てみましょう。

以前、LINE株式会社について書いた記事でもご紹介したのですが、新規に上場する会社は有価証券届出書という書類が公開されます。

厳密には、このコラムで扱っている有価証券報告書(有報)と異なる部分もあるのですが、同じような内容もたくさん掲載されているので、今回はJR九州の有価証券届出書を見ていきます。

JRといえば鉄道を走らせている会社というイメージですが、JR九州に限らず、実際にはバスも走らせていたり、駅ビルなどのショッピング・センターを運営していたり、ホテルやスーパーマーケットなどを運営したりと、その事業は多方面にわたります。

実は、JR九州の鉄道事業を含む運輸サービスは100億円ほどの赤字を計上しているのですが、その他の事業の利益を稼ぎ出すことで、グループ全体の利益を確保しているという構図になっています。

では、JR九州の運輸サービスの中心である鉄道は、本当に厳しいのか。今回は有価証券届出書を元に、JR九州が列車を1km走らせるといくらの収益になるのかを調べてみましょう。

【業績等の概要】に記載されている鉄道事業の営業実績を見てみます。平成27年4月から平成28年3月までの1年間で、JR九州は新幹線を約6,400万km、在来線を約2億4270万km、合計約3億670万km走らせていることが分かります。

これに対する収入が(定期・定期外含めて)新幹線が約517億円、在来線が約985億円、合計で約1,501億円となっています。

これらのデータを割り算すると、JR九州が新幹線を1km走らせると約808円、在来線を1km走らせると約406円、新幹線と在来線を合計して計算すると約490円という計算になります。

実は、既に上場している東日本旅客鉄道株式会社(以下、「JR東日本」)と東海旅客鉄道株式会社(以下、「JR東海」)、西日本旅客鉄道株式会社(以下、「JR西日本」)の有報にも、同様のデータが掲載されています。

ただし、JR東海の有報には新幹線と在来線の区別がないため、とりあえずこれらを区別しない状態で比較してみましょう。

すると、JR東日本の列車は1km走ると約773円、JR東海の列車は1km走ると約1,078円、JR西日本の列車は1km走ると約635円の収入となるので、既に上場している本州のJR3社と比べると、JR九州の鉄道はなかなか厳しい環境にあるといえます。

ですが、きちんと計算をすると、JR九州の方が稼いでいるという数値も見つけ出すことができます。

JR西日本の新幹線が1km走ることによる収入は約796円で、わずかではありますが、JR九州の新幹線の方が勝っています。

今年の熊本地震で大きな被害を負った九州の鉄道ですが、実はかなりのポテンシャルを秘めていることがうかがえます。

JR九州の上場でどのような変化を見せるのか、注目すべきなのかもしれません。

(ネットスクール株式会社 藤本拓也)

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