飛び立つ日を待つMRJを有報で追いかけると…

航空機イメージ2015年11月11日の水曜日、日本で初めてとなる国産ジェット旅客機「MRJ」が愛知県の県営名古屋空港を離陸、1時間半ほどの初の試験飛行に成功したというおめでたいニュースが飛び込んできました。

開発を行う三菱航空機株式会社(以下、「三菱航空機」)と三菱重工業株式会社(以下、「三菱重工業」)は、2017年中の初号機納入に向けて、これから飛行試験を繰り返していくそうです。

さて、MRJを開発する上記の2社。三菱航空機は三菱重工業の子会社(グループ会社)であり、親会社である三菱重工業は上場企業であるため、有価証券報告書(有報)を作成しています。
決算日の関係で、まだ初飛行前の時点で作成された有報しか存在しませんが、そこからMRJの動きを探ってみましょう。

最新の有報である平成26年度(平成26年4月1日~平成27年3月31日)の【業績等の概要】を見てみると、「将来の当社の中核事業と期待されるリージョナルジェット機MRJでも、新たに58機を成約した」と書かれています。
この時点では初飛行が行われる前ですから、1度も飛行していない新型航空機がわずか1年間の間に58機も販売契約が結ばれたということになります。付け加えれば、ボーイングやエアバスといった、これまで旅客機の製造実績がある会社が作る新型航空機ではなく、本当に初めて旅客機を製造する会社の新型航空機でこの販売実績は、相当な注目を浴びていることが分かります。

ただ、このような顕著な表現が有報内に書かれることはまだ少ないようで、過去に遡ると平成25年度、平成24年度、平成23年度では書かれておらず、前述の平成26年度のような記載があるのは平成22年度の「リージョナルジェット機MRJで米国向け大型案件を成約した」というもののみとなります。

今後、実際に飛行実績が増えていき、航空会社に納入され、私たちも搭乗できるようになる頃には、もっと色んな情報が有報に載ることでしょう。

ちなみに、会計上の原則的なルールでは、ざっくり言うと実物の引渡しをしなければ「売上高」を計上することはできません。従って、注文を受けただけのMRJは1円も売上高になっていないはずです。

詳細は有報にも書かれていませんが、MRJの開発を行う「交通・運輸」セグメント(部門)の情報を見ると、58機成約した平成26年度の「受注高」が前期比177.3%増の約1,000億円、顧客への引渡しを待つ「受注残高」が前期比45.8%増の約1,670億円となっており、前期比で大きく伸びています。
「交通・運輸」セグメントの中には、地下鉄システムやガスを運搬する船の受注も含まれているため、必ずしもMRJだけの金額を示している訳ではありませんが、他のセグメントに比べて受注残高の伸びが著しいことを考えると、MRJの金額が占める割合も増えていると考えられます。

この部分の数字も、実際に私たちがMRJに搭乗できるようになるまでどのような推移となるのか、注目してみると面白いのかもしれません。

ネットスクール株式会社 藤本拓也)

三菱航空機株式会社

三菱重工業株式会社

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